E7386(導出先:エーザイ)

エーザイ創製の経口チロシンキナーゼ阻害剤「レンビマ®」との併用による固形ガンを対象とした後期第Ⅰb 相/第Ⅱ相臨床試験において、2025 年 10 月の欧州臨床腫瘍学会(ESMO)で発表されたデータ(データカットオフ:2025 年6月4日)では、11 名の患者で奏効を確認し、客観的奏効率(ORR:腫瘍が完全に消失または 30%以上減少した患者の割合)は 36.7%でした。更には「レンビマ®」投与歴が無い患者における ORR は57.1%でした。

また、エーザイは 2026 年4月開催の米国がん学会(AACR)において、非臨床研究における「レンビマ®」との併用結果に関する新しいデータを発表しました。この結果から、子宮内膜ガン治療において E7386 が「レンビマ®」の抗腫瘍効果を増強する可能性が示唆されました。

エーザイは、患者の用量最適化パート(第Ⅱ相)の患者登録を進めており、2026 年度中(~2027 年3月)にトップラインデータを取得し、「レンビマ®」との併用による子宮内膜ガンに係る適応に関して、2031 年3月までの承認取得をめざすと発表しています。

CBP/β-カテニン相互作用阻害剤

Wntシグナル伝達経路は、がん、線維化などを制御するタンパク質のネットワークであり、創薬標的として広く研究されています。Wntシグナルは、細胞が「がん化」「線維化」する際のみならず、細胞が「分化」して正常に機能する際にも重要な機能を果たすため、Wntシグナルを止めることは副作用にもつながります。従来の技術で開発されてきたWnt阻害剤は、Wntシグナルを上流から全て止めてしまうため、強い毒性を示して開発が中止されてきました。

E7386及びPRI-724は、そのような毒性を示すことなく、治療薬として必要な安全性を可能とするコンセプトのもとで創出された化合物です。Wntシグナルは、細胞核内でβ-カテニンがCBPという転写因子タンパク質に結合することでスイッチが入りますが、PepMetics®化合物は、このCBPに結合し、CBPとβ-カテニンの結合を阻害します。一方で、PepMetics化合物はCBPと似た別のタンパク質であるP300とは結合しないため、β-カテニンとP300によるWntシグナル経路は機能します。その結果、PepMetics®化合物はWntシグナル全体の機能を止めることなく、「がん化」「線維化」を止めることが可能となります。

エーザイ株式会社

契約締結年月:2011年4月

プレスリリース
  • 一時金、開発、販売等に対するマイルストン及び研究費を含めて 250 億円以上
  • 対象製品に対するライセンス契約
  • 共同で創製した中分子化合物である CREB-binding protein(CBP)/β-catenin(β-カテニン) 相互作用阻害剤 E7386 について、2021 年 11 月に臨床における POC を達成
  • エーザイ創製の経口チロシンキナーゼ阻害剤「レンビマ®」との併用の臨床試験では、2025 年 10 月にエーザイが欧州臨床腫瘍学会(ESMO)で発表した後期第Ⅰb 相/第Ⅱ相の最新の中間解析結果において、子宮内膜がんの患者で高い客観的奏効率と有望な予備的抗腫瘍活性が示された。
  • 管理可能な安全性プロファイルとともに、36.7%の客観的奏効率(ORR)を示し、以前にレンビマ®投与歴の無い患者におけるORRは 57.1%であった。
  • エーザイは、子宮内膜がんの患者を対象とした第Ⅱ相パートを進めており、レンビマ® との併用による子宮内膜がんに係る適応に関して、2031 年3月までの承認取得をめざすと発表。