PRI-724(導出先:大原薬品工業)

当社が見出したCBP/β-カテニン相互作用阻害剤であるPRI-724(一般名:ホスセンビビント)は、大原薬品工業にがん以外の分野における権利を導出しました。C型肝炎(HCV)及びB型肝炎(HBV)による肝硬変患者を対象に臨床試験が進められ、C型またはB型肝炎ウイルスに起因する肝硬変患者を対象とした第I相及び第IIa相臨床試験において、肝硬度、肝機能の改善が認められました。これにより、2022年4月にPOCを達成しています。国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の医療研究開発革新基盤創成事業(CiCLE)の中間評価で、「第IIa相試験において有効性を確認でき、安全性上の懸念も少ないことから、臨床次相試験の実施が可能と考えられ、今後も計画通りに進捗することが期待される。」との評価結果を得ました。2023年4月より、HCV・HBVに加えてMASH(代謝機能障害関連脂肪肝炎、旧名:非アルコール性脂肪肝炎(NASH))に起因する非代償性肝硬変患者を対象とした第Ⅱ相臨床試験を国内38施設で実施し、MASHを対象とするコホートでは患者の登録を完了しました。2027年12月に臨床試験終了を予定しています。

CBP/β-カテニン相互作用阻害剤

Wntシグナル伝達経路は、がん、線維化などを制御するタンパク質のネットワークであり、創薬標的として広く研究されています。Wntシグナルは、細胞が「がん化」「線維化」する際のみならず、細胞が「分化」して正常に機能する際にも重要な機能を果たすため、Wntシグナルを止めることは副作用にもつながります。従来の技術で開発されてきたWnt阻害剤は、Wntシグナルを上流から全て止めてしまうため、強い毒性を示して開発が中止されてきました。

E7386及びPRI-724は、そのような毒性を示すことなく、治療薬として必要な安全性を可能とするコンセプトのもとで創出された化合物です。Wntシグナルは、細胞核内でβ-カテニンがCBPという転写因子タンパク質に結合することでスイッチが入りますが、PepMetics®化合物は、このCBPに結合し、CBPとβ-カテニンの結合を阻害します。一方で、PepMetics化合物はCBPと似た別のタンパク質であるP300とは結合しないため、β-カテニンとP300によるWntシグナル経路は機能します。その結果、PepMetics®化合物はWntシグナル全体の機能を止めることなく、「がん化」「線維化」を止めることが可能となります。

大原薬品工業株式会社

契約締結年月:2018年5月

プレスリリース
  • 当社の保有する特許権及び特許を受ける権利について、日本国内の専用実施権を許諾する契約
  • 2023年7月より、CBP/β-カテニン阻害薬OP-724のC型・B型肝炎ウイルスまたはMASH※に起因する非代償性肝硬変患者を対象とした第II相臨床試験を開始
  • MASHを対象とするコホートでは患者の登録を完了